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夜中にテレビを見ていると、時々とんでもないアタリ番組にぶつかる時がある。

二三日前に、久々にその状況に置かれた。

「LittleVoice」という映画作品である。そこそこ有名……でもあるらしいのだが、全く知らなかった。

ストーリー自体は王道を行くものではある。父を亡くして以来誰とも口を利こうとしなかった「LV(エルヴィー)」は、父の遺したレコードを毎日聴いてはそれを歌っていた。それはいつの間にか、本人とそっくりなほどにまで上達していた。偶然田舎のスカウトがそれを聴き、私財を擲って彼女のためのステージを用意する。そして彼女は舞台に立つ――とまあ、簡単に言えばこんなお話。元々は舞台でやっていたらしい。

正直テンポはあまり良くないし、話の展開もいまいちピンとこなかった。けれど結局最後まで見てしまったのは、LVを演じるジェイン・ホロックスによるところが大きい。演技、というか表情にかなり惹きつけられたし、何よりその声に捉まれた。どうも、ああいう声には耐性がないらしい。午前三時だったか四時だったか、帰ってきてさあ寝ようかという時に偶然彼女の声を聞いてからの約二時間、しっかり観てしまったもの。

普段のLVはもちろん、舞台に上がった後のLV、ジェイン・ホロックスの素晴らしさといったらない。白状すると、彼女が歌った往年のヒットナンバーと言われているであろう曲群は、ほとんど知らない曲だった。それでも充分に聞き入ってしまう歌唱力、そして歌声の表情である。各歌手の仕草すら完全に真似ているらしい。真似している、とは知らなかった初見の状態では、単に「生き生きしてるなあ……」と絶句するだけだったが、知っている人にとっては更に大きな衝撃だったのだろう。

先に「元は舞台で演じられていた」と書いたが、どうも監督がジェイン・ホロックスの歌声に惚れ込み、映画化しちゃった、という感じらしい。でもそれもわかる。あの歌声を生で聴いたら、それはそれは感動するだろう。劇中では多くがカットされてしまっていて、中途半端なメドレーで終わってしまっていたが、舞台だったらもうちょっと聴けたのだろうなあ。残念である。

映画全体としては、展開構成その他諸々、恐らく誰もが「?」となるような半端なものだろう。しかし母親役のブレンダ・ブレッシンを始めとして、「イギリスの役者は上手い」ということを改めて認識させられるようなものでもあった。

だからこそ非常に惜しいと思う。素材は非常に良いのだ。しかしその調理方法がいまいちだった。これは監督の能力不足なのだろう。場面場面として観ればレベルは高いが、全体としてみるとどうしてもそれほどの高評価はできない。特に最後の場面――あれはもうちょっとドラマティックに演出できたはずだ。彼女があのような行動に出るということの意味を、もう少し表現すべきだったと思う。

総評としては「いまいち」。しかし非常に心打たれるというか、ずどん、と来た映画だった。

時々こーゆーのがあるから、世の中面白い。


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