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 小さい頃、家の近くには廃墟があった。記憶が正しければ、それは使われていないバイクの倉庫。そこそこに壊れたよくわからない機械が置かれ、しかし危険とされていなかったのかそれらは撤去されるわけでもなく放置。倉庫の周囲は背の高いススキに囲まれ、秋ともなればさながら金色の海を思わせた。その上を何匹ものトンボが滑る景色は、思い出となった今、現実離れした美しさを持っている。

 小さい頃、家の周囲には子供がいた。自分より年下の子供、年上の子供。男の子に女の子。お互い特にそれと意識もしなかったが、年上の子は年下の子に自分の知識経験を示唆し、年下の子はそれを知らず知らずのうちに学習していった。まだ性差は意識されず、女の子に男の子が泣かされることも往々にしてあった。……女の子の涙は、既にその頃から特別な意味を持っていたが。

 今思えば幸せだったのだろう、関係は平等で、争い事もあったが絶対的な隔絶もなく、日々を子供らしく過ごしていた。

 子供たちは倉庫を見つけた。そこは外界から隔離された世界。彼ら八人には広すぎるほどの未開の地。埃っぽい澱んだ空気を吸いながら、不可解な興奮を覚えていたを覚えている。

 そしてその中の一人が言ったのだ。


 ――ここはおれたちのひみつきちだ!


 一人暮しをすると、どうしてもあの時を思い出す。これから先、自分がもし家庭を得ることがあったとして、その家族と新居を構えたとする。その時もきっと思い出すだろう。

 ――ひみつきち。自分たちしか知らない、聖域めいた特別な場所。もしかすると人は、常にひみつきちを求めているのではないだろうか。

 そんなどうでもいいことを思っては、あの頃の楽しさ、無邪気さに、憧憬を抱かずにはいられない。家庭を持つという仮定をしたけれど、もしそれが現実となる時が来ることがあるならば、是非、自分の子供にもあの楽しさを経験して欲しいな――と、そんなことを、強烈に思った今日だった。

 その頃から今に至るまで何故か切れない縁もある。実に不思議なもんだ。たった一本の電話で、こんな長い文章を書かせるだけの力もある。変わるものがほとんどだけれど、変わらないものもある。可能ならば、どうかこの俺も、誰かを迎えるだけの懐かしさを持っていられますように――

 そんなポエムチックな丑三つ時。たまにはこーゆー文章もネ!
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